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ガジャマダ大学サマースクールの参加について(報告)

2019.10.8

学部

ガジャマダ大学研修を終えて
宮田さくら

インドネシア、どのような国で、いったいどんなことを学べるのか。始めは不安でいっぱいだったが、初めて海外に飛び立つ私にとって、今回の研修で得たことはとても刺激的でそしてかけがえのないものとなった。研修を通して私は多くのことを学んだが、その中で特に私が心に残ったことが3つある。
1つ目は、インドネシアの人のホスピタリティの凄さである。初めての土地で右も左も分からない私に、自分のことかのように、あるいは、自分以上のこととして物事を捉え、手を差し伸べてくれた。利己的な考えにおちいりがちな私にとって、そのホスピタリティには見習うべきことがたくさんあった。海外ではさまざまな人種や宗教が混ざり合い、共存しないといけない状況が日常的な分、多様な価値観を受け入れ、ただすれ違っただけなのに困った時に手を差し伸べてくれる人が多いと感じた。
2つ目は英語を話せることがいかに重要かということである。この研修中わたしは伝えたかったことの1割ほどしか英語で伝えることができなかった。もっと話したいこと伝えたいことはあるのに伝えられないもどかしさは常にあった。海外では英語を話すことができることがスタート地点である。そのスタート地点に立てていない自分の無力さをいくつもの場面で痛感した。例えば、この研修中にずっと日本人をサポートしてくれた現地の子に感謝を伝えたい場面で、うまく伝える事ができなかったことは、今でも悔しい気持ちが残っている。英語が大切だと散々言われてきたが、その意味が身にしみてわかった。
3つ目は、今回の研修で得た仲間の大切さである。同大学から一緒に参加したメンバーだけでなく、他大学から参加した日本人の学生、院生、そして現地の学生、ルームメイトは、研修期間中とてもあたたかく、このメンバーからから学ぶことは多かった。日本に帰国したら離れ離れになってしまうが、彼らとは、もう一度会いたい、そんな風に思える出会いだった。遠い土地で同じ道で頑張っている仲間がいることはとても心強いことだと思う。
短い間ではあったが、日本から離れることで、日本とは違う文化や風習に触れることがいかに大切であるかを知った。これから先、異なる社会状況、文化的背景を持った人と同じ職場で働く、あるいは患者さんとして自分が治療する時があるかもしれない。その時に今回の研修で得たことは間違いなく役立つであろうし、自分の中で足りなかった部分は改善していきたいと思った。私が今回ここに記述した内容はこの研修で得たことのほんの一部のことで抽象的なものである。もし、何かしらのきっかけでこの研修の記録を目にし、参加を迷っている後輩がいたら、是非、臆せず参加して欲しいと思う。参加する前より確実に多くの貴重な経験を得る事ができ、視野は前より確実に広がっているに違いない。

ガジャマダ大学サマースクール 成果報告 
西田 健人

今回8月20日から27日の七日間、インドネシアのガジャマダ大学にて行われたサマースクールに参加した。このコースは主に講義、実習、工場見学、フィールドトリップ、そして学校歯科教育の5つで構成されていた。
まず講義であるが、想像以上にコマ数が多く、英語の授業を長時間聴き続けるのは英語があまり得意ではない私にとって非常に大変であった。しかし、講義の内容はとても興味深く、中でも新潟大学の小川教授の講義は印象的で、日本とインドネシアのMDF歯数に着目し、齲蝕防止のための水道水フッ化物添加の有用性などをわかりやすく説明していただいた。
インドネシアと比較すると日本の方がMDF歯数が少なく、歯科予防の意識や技術も進んでいるようにカンジタが、インドネシアも漢方を利用するなど、日本とは違った視点から口腔環境を整える方法を考えており、魅力的であった。
実習では歯磨き粉づくりをした。歯磨き粉を作成する工程は非常に簡単で、材料を量り、ひたすら練っていくだけであったが、歯磨き粉にどのような成分が含まれているか詳しく学習できるいい体験だった。
工場見学ではインドネシアの大手漢方薬会社SIDOMUNCULに片道3時間かけて行った。インドネシアでは漢方薬の屋台があるほど漢方が人気のようで、2日目講義の中でもインドネシア特有の漢方の説明があった。漢方薬の開発の様子や精製過程を見ることはできず、ほとんどが梱包作業の見学だったのは少し残念であったが、手作業でものすごいスピードで漢方が梱包されていく様子は圧巻であった。
フォールドトリップでは、お受けの豪邸やお菓子工場の見学やビーチへ行った。ビーチではさらにメンバーとの仲が深まった。
学校歯科教育では、実際に小学校を訪れ、生徒達に歯磨きの大切さを教える授業をした。子供たちはとても明るく活発で、一緒に楽しみながら授業をすることができた。私のグループは劇をメインで行い、小道具の作成など事前準備が大変だったが。授業を終えた時の達成感は大きかった。
初めは旅行気分で申し込んだサマースクールであったが、実際はかなりハードで苦労の連続であった。しかし、このコースを通してインドネシアの歯科や文化について多く学ぶことができた。そして何よりインドネシア、マレーシアの学生たちと友情を深めることができた。日本と東南アジアでは宗教も文化も全く違うので仲良くなれれるか不安もあったが、とてもフレンドリーに接してくれたのでその心配は不要であった。UGMの学生の方々には授業後に観光や夕飯に連れて行ってくれたり、とてもお世話になったので、彼らが来年日本に来るときは恩返しをしたい。この貴重な経験は必ず将来に活かしていきたい。

鳥谷博昭

今回ガジャマダ大学のサマーコースに参加してみて歯科という分野の重要性を再認識することができました。歯科という分野、人体というものは世界中どこにおいてもささいな違いはあれど大差はありません。つまり歯科医師とはどこにおいても活躍することができる職業だということです。今回のサマーコースでマレーシア、インドネシアにすむ多くの歯学生と知り合うことができ、また各国の歯科業界について知識を交換することができました。私が最も驚いたのは日本の齲蝕予防という分野の素晴らしさです。今回のサマーコース中の新潟大学小川先生の講義ではフッ素洗口により新潟県の齲蝕が国内で最も少ないことを知りました。また、インドネシアとマレーシアと比べて日本の小児における齲蝕保有率は大きな差があることを知りました。そのような事を知った上での小学校での歯磨き指導は私のこれからの進路に大きな影響を与えたと思います。日本と同じように楽しく遊びまわる子供達を見ることができ心が安らぐと共にその子達の多くは日本と比べると多くの子供が齲蝕を持っていると考えると、その子たちのために何かできるのではないか、何か手助けをすることこそが本当の意味での国際交流につながるのではないかと考えました。このような経験や考えが頭をよぎるのは大学内での講義ではなかなか難しいものだと思います。そのようなことも含めてこのサマーコースには深い意味があり時間以上の価値を持ち、自分の歯科医師としての未来に大きな影響を与えるものとなりました。

6th UGM DENTAL SUMMER COURSE 2019
久田桃歌

今回参加させて頂いた6th UGM DENTAL SUMMER COURSE 2019(以下UDSC2019)では1週間という短い期間でしたが、講義を通して知識を得ただけでなく、インドネシアの文化や慣習に触れ、国籍を問わずたくさんの友達を作ることが出来ました。
今回のUDSC2019では「生物多様性と口腔健康」というのがテーマであり、その講義の一環として最終日に地元の小学校を訪れました。日本の小学校とは少し違った雰囲気があって刺激的であり、子供たちはとても元気で明るく、人懐っこくて笑顔が素敵でした。しかし、やはり日本の小学生と比べると齲蝕のある児童が多いように感じました。日本における小学生の齲蝕率はかなり低くはなってきていますが、インドネシアのように、まだまだ子供の齲蝕が多い国も世界にはたくさんあって、国際化が進む今後の世界において、私たち歯科医師は日本国内だけでなく、他の国々にも目を向けて、海外の歯科医師とも積極的に協力し合うことが世界中の人々の口腔衛生状態の向上に大切なのだなぁと思いました。
校外学習としてみんなで訪れたマリオボロ通りでは、インドネシアの伝統服であるバティックを販売しているお店が多くあり、様々な柄のバティックを見ることが出来ました。このバティックは日本の伝統的な服である着物や浴衣などとは全く異なる趣のある物で、とても素敵だなあと感じました。
また、ジョグジャカルタの王宮であるクラトンではインドネシアの歴史を感じることが出来ました。入口の門をくぐった所にある魔除けの神「カーラ」は大きくギョロッとした目と鋭い牙を持っており、一見とても怖いですが、カーラはボルブドゥール寺院などでも見られるインドネシアで親しまれる国全体の守り神でもあるということを学びました。クラトンの建物もとても綺麗な装飾が施されており、美しかったです。
私はUDSC2019が大学に入学してから初めての海外留学でしたが、このプログラムを通して本当に良い刺激を受けられたと思います。英語での講義は少し難しさを感じましたが、とても新鮮であり、日本以外の国で学んでいる歯学部生と交流できたことで改めて学習意欲が湧きました。今回のUDSC2019で学んだことや経験したこと、また新しく出来た友達のことを忘れることなく、今後の勉強や歯科医師としての将来に生かしたいと思います。

UGM summer course を通して
1DD16051R 高本侑立子

インドネシアは、人口に対する歯医者の数は少ない。それに対して、日本は過剰と言われる昨今である。今回のガジャマダ大学のサマーコースの参加国は、マレーシア、インドネシア、日本の三ヶ国だったが、どの国もそれぞれ歯科事情、口腔衛生事情が異なる。中でも日本は、口腔衛生や予防医学が進んでいるためDMFT歯数は低い。それに対してインドネシアの歯科疾患の発生率はまだかなり高い。(2013年の世帯健康調査報告書は、虫歯の有病率は25.9%であり、DMFT歯数は4.6である。)その原因は、未だ幼児に対する歯科教育が出来ていないこと、更には食生活が影響していると考えられる。また、中でも興味深い違いは、予防の取り組み方の違いである。日本ではフッ素を使用するが、インドネシアではその他にハーブ療法を行う。これは、インドネシアの生物多様性を生かした薬物療法である。
様々な違いが挙げられるなかで、歯科医師不足や、口腔衛生の低さが問題に挙げられているインドネシアであるが、果たして、日本は満足のいく完璧な歯科医療ができているのだろうかと考えるようになった。日本にも首都圏と地方との違いがあり、首都圏は歯科医師過剰だが、地方は少ない。また歯科医療に対する意識、情報の拡散も存在する。この問題を解消するのは、次世代を担う私たちの役目だと感じた。それもこのような海外経験を通して考えたことである。海外経験を通して、日本に還元する。そして、日本の歯科を担う一員として今後の活動に活かしていきたいと思うことができた。
また、更にこのプログラムでは勉学に励むだけではなく、宗教、文化、言語の違いを越え、他国の歯科学生との交流もすることができた。他国の歯科学生は積極的でホスピタリティに溢れていた。いつもと異なる環境下での歯科を通しての交流は自分の将来へのステップアップへと繋がる良い機会だと思う。今後、この経験を生かし学生でしかできない活動をしていきたいと思える素晴らしいプログラムだった。