福岡親子の会つばさと九州大学病院口唇口蓋裂クリニック

治療の全体的な流れ


新たなご家族である赤ちゃんの誕生、おめでとうございます。

大切に育てていき ましょう。



第一段階


出生から
口唇形成術
赤ちゃんが口唇裂・口蓋裂を持って生まれてきたら、ご両親は非常に ショックを受けら れていると思います。どの赤ちゃんも元気にかわいく成長しています、元気を出してください。
 今から成人するまで長い道のりです、のんびり行きましょ う。 成長が終るまで、子育ての一環と考えてください。皆、やさ しい いい子に育っています。

 本クリニックでは、産院から依頼がありましたら、口腔外科医・ 看護 師・小児歯科 医が産院に伺いまして、お母様・ご家族に今後のお子様の育児・手術・その後の治療全般についてお話しています。まず、哺乳の仕方を勉強しないといけません。
本院では、哺乳床(ホッツ床やNAM)といっ て、ミルクが鼻にこぼれないようにする義歯 を入れます。赤ちゃんは自力で ミルクを飲めるようになります。
産院に伺ったり、当院に来られた時に、小児歯科医が上顎の型をとって哺乳床を作ります。これは誕生して早急にしないと、赤ちゃん は口に入れるのを嫌がります。
口唇の手術のこともありますから口腔外 科に すぐにご連絡ください、小児歯科の先生と連携してご相談します。

 口唇の手術は3ヵ月頃に行いますので、手術を受ける予定の病院に行かれれば、担当医ならびに看護師が説明いたします。

(ピア・カウン セリング
 「つばさの会」で は、お母様方のご希望があれば、先輩お母さんが本院のCLPクリニックにて、子育て等について経験談をお話する支援も行っています。
口腔外科 (Tel: 092-642-6450) の先生に連絡を取ってください、先輩ママに連絡いたします。
第二段階

口蓋形成手術
 口蓋裂がある赤ちゃんは、2歳頃にその閉鎖手術を行います。
あまりこの手術が早すぎる と、上顎の発育が非常に悪くなります。 だが社会生活上、言葉を覚える頃には口蓋を形成する必要があります。

 この手術を行う前に言葉を 無理に覚えさせるようなことはしないでください。 正しくは発音しにくいのですから、間違った発音の習慣をつけない方が、手術後正しい発音が獲得できます。 手術後には、軟口蓋が十分動き、正しい発音ができるように言語訓練が必要で す。
第三段階

乳歯列期
 3才後半から言語訓練と平行して、矯正歯科の先生が顎の発育と噛み合せの管 理を行いま す。矯正治療や装置など詳細は、機関紙「つばさ」の第15号に掲載していますので、ご覧ください。
 病院では4才から半年毎に 定期検診を行 い、問題が生じてきたら治療に取り掛かります。 成人になるま で長い期間のお付き合いになるので、子供さんの負担を考えて、多少の問題は なるべく目をつぶり 、装置を入れる期間を短くす るよう努めています。
上顎の骨の発育が著しく悪い 場合は、幼稚園の年長組の頃に治療を始めることもあります。
第四段階

混合歯列期
学童期
 小学校1~2年生で上顎の真ん中の歯(中切歯)が生えてきた時、 破裂がある側の歯は捻じれて生えてきます。これが下顎の前歯の歯並びを障害する時は装置を入れ て捻じれを除去します。その後は定期検診を続けます。

そして、 レントゲン写真を観察して顎裂部に腰の骨(腸骨)移植の時期を検討します。犬歯が生えてくる直前が良いと考えています。大体、小学校 4~5年生頃です。
この1年くらい前に、狭くなっている上顎骨を、下顎歯列とちょうどよく噛めるように拡大します。骨移植の 直前に拡大を行うと手術のために矯正装置をはずしている間に、広げられた上顎歯列は元に戻ってしまいます。早めに拡大し、しばらくその状態を維持しなじませます。

 骨移植しても放置していたら、せっかく移植した骨も吸収し始めます。これを防 ぐためには、歯を移植した骨の中に 移動して歯と歯の間隔を狭く、あるいは隙間がないように詰めていかなければなりません。骨移植後1~2カ月の内に、歯に装置(ブラケッ ト)をつけて、歯を移植骨の方へ移動して歯列を作り上げます。この治療は2~3年かかります。

 この間に鼻の変形の問題が生じる場合もあります。程度がひどけれ ば、修正手術の必要があります。 しかし、顎顔面の成長の観点からは、可能な限り手術の回数は少ない方が良いので、そこでは社会生活での問題との兼ね合いで選択しなければなりません。
第五段階

永久歯列期
中学生~成人
 高校生になってから、 最終的な歯の排列を行い咀嚼できるようにします。 特に上顎第二大臼歯や智歯の排列を行わないといけません。大体18歳頃には終る予定です。

 しかし、上顎骨の発育が異常に悪かった り、下顎骨の成長が非常に大きい場合は、外科的に顔貌を改善し,咀嚼機能を改善する方法もあります。 これは成長が終了してからです。
(外科矯正治療)

また、鼻や口唇の変形のある場合は、修正手術をこの時期に行います。 私たちは歯を削らないで、自分の歯だけで 咬合を完成させようと努力していますが、患者さんによっては最初の破裂の程度が大きかったり、あるいは歯の先天的な欠如など種々の要因によって、これを達成できない場合も あります。 その場合は、高校3年生あるいはそれ以降に、ブリッジやインプラントなど人工歯を使って咬合を完成させます (補綴的処置)。