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歯学部第39期卒業生へのメッセージ を掲載しました。

2011.3.25

その他

歯学部第39期卒業生へのメッセージ

 

 第39期生の皆さん、卒業おめでとうございます。6年間というここまでの長い道のりは決して平坦な ものでは無かったと思いますが、皆さん自身の努力とご家族、友人、ならびに教員の先生方、職員の方々の支えもあって皆さんは今ここにいるのだと思います。 また特に今回の歯科医師国家試験合格率は念願の9割を越え、総数の合格率は全国トップに躍進することができ、皆さんを誇りに思います。今日、新たな目標に 向かって歩んでいく出発点に立ち、気持ちも新たにしていることと思います。私たち大学人にとりましても皆さんを無事に送り出すことができることは最大の喜 びです。 
 九州大学歯学部では設立当時から全身との関連で歯学を捉えるという伝統があり、これまで多くの優れた研究者、教育者ならびに歯科医師を輩出してきまし た。この伝統は「口腔から全身の健康に貢献する」という教育・研究理念として受け継がれています。超高齢化社会を迎えるに当たって、様々な全疾患を抱えた 高齢者が急増する中、このような教育・研究上の土壌の中でしっかりと学んできた皆さんが本領を発揮してくれるものと期待しています。
 余談になりますが、ホームページの英語版に「口腔から全身の健康に貢献する」の英訳として「Health from Oral Health」と書いていました。すると英語に詳しい友人から「Health」ではなく「Well-being」の方がよいというアドバイスを受けまし た。この「Well-being」というのは、単に病気がないというだけではなく、精神的にも社会的にも良好な状態を表す言葉です。そこで早速 「Overall Well-being from Oral Health」と書き直しました。今日、皆さんに改めてこの言葉を送りたいと思います。くじけそうな時にはこの言葉を思い出し、また九大卒業生としての誇 りを思い起こし、プロフェッショナルを目指して歩んでいって下さい。
 今回の東北関東大震災、それに続く津波による甚大な被害、さらには原子力発電所の事故に皆さんも心を痛めていることと思います。お亡くなりになった方 々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。被災地では東北大学歯学部をはじめとして全国から派遣された歯科医師の先 生方が検死グループの一員として、厳しい過酷な環境のもとでご遺体の身元確認作業に従事しています。また、避難所への訪問診療も始まっています。歯学研究 院としましてもできるだけの事をしていきたいと考えています。来週早々にも歯科診療において不足している医薬品類を被災地に向けて発送する予定です。今、 日本人の社会的絆の強さに世界中が注目しています。皆さんも、西日本にいる我々が東日本の分まで頑張る、さらには西日本にいる我々が日本を牽引していくく らいの気概でやっていってほしいと願っています。また、皆さんの楽しみにしていた謝恩会の件ですが、中止という苦渋の決断をした謝恩会実行委員のメンバー に敬意を表したいと思います。
 最後に、第39期卒業生の皆さんの今後のさらなる活躍を祈念し、私からのメッセージとさせて頂きます。

 

平成23年3月24日

  九州大学大学院歯学研究歯学部長  中西 博