研究院長挨拶
研究院長よりご挨拶MESSAGE
「口腔の健康から全身の健康に貢献する」を
実践できる歯科医師のリーダーを
目指しませんか!
九州大学大学院歯学研究院長・歯学府長・歯学部長
西村 英紀Nishimura Fusanori
2023年(令和5年)4月1日から九州大学大学院歯学研究院長・歯学府長・歯学部長(※)を務めております西村英紀です。
九州大学歯学部は、1922年(大正11年)に医学部に発足した歯科学講座が基礎となり、1967年(昭和42年)6月に医学部から独立し歯学部が設置され、2017年に創立50周年を迎えました。九州大学(当時は九州帝国大学)の創立が1911年(明治44年)ですので、歯科学講座は大学の創立から10年余りで設置されたことになります。創立以来、国内でも有数の歯学部として歯学教育、歯科医学の先駆的研究を実践し、大学病院においては高度で先進的な歯科医療を提供してきました。その成果は着実に現れており、多くの卒業生が国内外の歯学部・歯科大学はもとより医学部・医科大学においても教授や准教授として活躍しているほか、日本歯科医師会や歯科医師連盟においても卒業生が要職を務めるなど、我が国の歯科界全体を牽引しています。
創立50周年を迎えたのを機に、九州大学歯学部のロゴマークを作成しています(※1)。そのコンセプトは、「グローバル」、「情報発信」、「歯学」、「未来」をキーワードとし、“Global Hub for Dental Science”を目指すというものです。また、次の半世紀に向けて、躍進スローガン「継承・躍進・牽引」を掲げました。先人たちが築いてきた歴史と叡智を「継承」し、今を生きる我々がさらに「躍進」させ、世界をリードして「牽引」することを目指すという意味が込められています。今後も、最先端の歯学・歯科医療の研究・開発とその臨床応用に向けて、さらなる発展を目指していきます。
2000年(平成12年)の大学院重点化以降は “Overall Well-being through Oral Health(口腔の健康から全身の健康に貢献する)”という理念を掲げ、教育、研究および診療の充実に取り組んでいます。超高齢社会のトップランナーである我が国では、国民の健康寿命の延伸が重要課題とされています。そこで、2015年(平成27年)に、「健康長寿の秘訣は健全な口腔機能・口腔健康にある」というコンセプトに基づき、口腔機能(Oral health)→ 脳機能(Brain health)→ 全身の健康(Total health)のサイエンスを包括的かつ重点的に研究するOBT研究センターを設置し、着実な成果を生み出しています。さらに、2021年度には新たに歯学発生再生(Dent-craniofacial Development and Regeneration:DDR)研究センターを設置し、口腔から発信する再生医学研究拠点の形成を目指しています。今後は上記の理念に基づいた教育、研究、診療活動をさらに発展させ、国民の健康寿命の延伸に貢献することを目指しますが、特に研究活動においては、この2つの研究センターを両輪として研究の集約化、重点化、効率化、そして活性化を図る予定としています。
一方、海外の大学とのネットワーク構築を進めて国際化を促進するとともに、学部学生や大学院生の海外留学プログラムを設置し、優秀な学生には経済的支援も充実させ、海外留学を積極的に奨励・支援します。また、諸外国からの留学生の受け入れも促進していきます。近年では、中近東や北アフリカからの留学生を重点的に受け入れており、この姿勢は国際的にも評価されています。これらを通して、国際的視野を持つグローバル人材の育成を目指していきます。ご存知のように、世界的なコロナ禍で未曾有の事態となり、教育や臨床、そして学生の海外留学も大きな影響をうけておりましたが、感染者数の減少によりようやく光明が見え始めてきました。Post & Beyondコロナ時代に向け、教職員一同新たな気持ちで職務に取り組む所存です。
最後に私自身の所信を表しますが、全ての教員、大学院生、学部学生が創立110年を超える歴史と伝統のある九州大学で学び研究を行うことに誇りを持ち、国内外の競合分野から高く評価されるような研究院・学府・学部としたいと考えております。歯科医学分野における一大教育研究拠点を築きたいと考えておりますので、宜しくお願い申し上げます。
※歯学研究院は教員の、歯学府は大学院生の、そして歯学部は学部学生の帰属先の組織です。
九州大学大学院歯学研究院長・歯学府長・歯学部長
西村 英紀
(令和5年4月1日記)
※1 九州大学歯学部50周年記念ロゴマーク