歯周病学
“研究マインドを持った臨床家”を育成するとともに、高度先進的な歯周医療の開発を目指します。
歯周病は宿主―寄生体相互作用の結果、組織が炎症性に破壊されるとともに、疾患が重症化すると生体にとって軽微な慢性炎症として作用するやっかいな疾患です。このため、歯周病の病因を正しく理解し、病因論に基づいた治療法を確立するうえで、寄生体(感染細菌)と局所の宿主防御機構(あるいはそれに影響を及ぼす環境・遺伝要因など)のバランス、また全身の炎症反応などを詳細に観察したうえで診断を下し、個々の病態に応じたいわゆるオーダーメードの医療を展開する必要があります。また、究極の目標は失われた組織の再生です。再生能力も個々に異なることを理解したうえで、先進的なオーダーメード再生療法の開発が望まれます。 紀州の医師であり世界で初めて全身麻酔による手術を行った華岡青洲は「活物窮理」(個々に病態を異にする臨床像を注意深く観察することによって真理を究明すること)の概念を提唱したと言われます。歯周病の病態も個々に異なることからこの精神が重要になります。現代医学では注意深く病態を観察(あるいは把握)する上で、ベースとなる基礎分野の知識は必須です。これらの知識や技術を駆使して正確な病態把握に努める必要があります。歯周病学分野はこのような概念に基づいて「研究マインドを持った臨床家」を目指します。